巷には自己中心的な人、無神経な人など、総じておかしな人がふえている。それを象徴するかのような鹿島田家の人々の日常をシニカルに描ききることで見えてくる不気味な世界。
あーいるんだろうなあ、こういう人たち。読んでいて愉快ではないのに、読むことを止められない。
「何が言いたいのか分からない」というレビューもあったけれど、ねっちりした恐怖を感じないのか。
著者の観察眼の鋭さったら、もう。
29/06/2008 Sun 21:49 | 読書
アヘン王国脱出から、角田光代、井原美紀、内澤旬子、船戸与一、大槻ケンヂとの対談、辺境の視線で読む書評と、辺境作家・高野秀行の魅力をすべて詰め込んだ一冊。
ああ、面白いなあ。既刊の外伝でさえ、壮絶。
この著者には毎度同じことを思い、毎度旅心を激しく掻き立てられる。
29/06/2008 Sun 15:01 | 読書
ある晩、マンションの居間で彼女は語りだした。「わたしは幽霊です。そういうことになるんだと思います」。小田切千波は自殺したとされていた。だが、何者かに殺されたのだ、と訴えた。ぼくは彼女の代わりに、事件の真相を探ることにする。次々と判明する驚愕の事実。
設定はともかく、ミステリとして読みました。
27/06/2008 Fri 17:24 | 読書
ふと手にした釣竿。釣りの面白さにハマった主人公たちに起きた奇跡とは? 釣りを通しての人々の心の交流を描く幸せ満点の連作集。
「奇跡を信じたければ釣りをすればいい」というわけで、非常に穏当なお話でばかりでした。氏のアイロニーを求めて読むとちょいと肩透かし。
25/06/2008 Wed 20:37 | 読書
トップを走り続ける歌姫の恐れ、人気アイドルグループの輝きの秘密、解散直前バンドの悲哀、話題の新人のデビューの経緯――トシマミホが音楽シーンで生きる若者達の光と影を描いた小説集。
わかものたち、のこころ模様、青臭さも泥臭さも等幅で描いているのが、青春。
21/06/2008 Sat 20:38 | 読書
お前は誰だ。俺の子ではない、お前は誰だ。39歳。男は、妻から妊娠を告げられた。それが、すべての始まりだった。30年の時間が流れた。
短いけれど濃密でした。
21/06/2008 Sat 17:45 | 読書
生まれてすぐに家族になるわけじゃない。一緒にいるから、家族になるのだ。東京から田舎に引っ越した一家が、座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、ささやかな希望と再生の物語。
まあ、荻原氏らしい安定感のあるお話でした。これまでの氏の作品のよきエッセンスを集めてまとめたような。家族のひとりひとりが敢えて頑張る感じを描いているところなんか。
20/06/2008 Fri 22:44 | 読書
お前んち、いっつもええ匂いするのう。おばあちゃん、夫(おじいちゃん)失踪中。お母さん、妻子ある男性を愛し、緑を出産。藍ちゃん、バツイチ(予定)、子持ち。好きになったら年齢問わず。桃ちゃん、4歳なのに、まだおっぱい吸いに来る。辰巳緑、14歳、女未満。初恋まであともう少し。
なーるほど。関西弁すごいなあ。
15/06/2008 Sun 18:42 | 読書
私、高遠寧々、28歳。実はコネ入社だけど、いちおう大手出版社経理部勤務。彼氏なんていなくても、気の合う同僚もいるし、お気楽な一人暮らしを満喫中。でも、そんな平凡な日々にも、いろんな事件は潜んでて――不倫、リストラ、社内イジメ。「あるあるある!」って思わず呟いちゃう、本音満載のワーキングガール・ストーリー。
ありがちな独身女子の小説かと思いきや、Nゲージ用の1/150スケールの住宅模型を作る、この趣味のアドバンテージが大きい。本当にこの著者の読ませ方の巧さには感心しますです。
15/06/2008 Sun 18:41 | 読書
「生きている。だけど……」十年連れ添った夫と別れ、会社も辞めた。そして、死のうと決意した浜田美砂の前に、二人の男が現われる。生への深い哀しみをたたえた檜山と、美砂の肉体を狂わせる左京という男。十ヵ月後、周囲の人々に美しい記憶だけを残してこの世を去るはずだった。ところが、美砂を死以上の恐怖のどん底に突き落とす思いがけないつまずきとは?
特別期待もせずになんとはなしに読み始めて、意外と面白がって、どうなるんだろ、と思った矢先のあーそんなオチ?惜しいというか弱いなあ。
11/06/2008 Wed 23:28 | 読書
記憶を一部喪失した雨村槇介は、自分が死亡事故を起こした過去を知らされる。なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろう。事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、思い出せない。しかも、関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める…。
ストーリィテーリングの上手さは本当に上手いと思うのです。とにかく先へ先へとずいずい読み進み、これだけ広げた珍奇な伏線はどうやって回収するのかと思ったら、ら、そのオチ?
思わず声に出して「えー?」と言ってしまいました。そんなあ。
08/06/2008 Sun 21:23 | 読書
結成14年のアマチュアロックバンドが練習中のスタジオで遭遇した不可解な事件。浮かび上がるメンバーの過去と現在、そして未来。亡くすということ。失うということ。胸に迫る鋭利なロマンティシズム。注目の俊英・道尾秀介の、鮮烈なるマスターピース。
ストーリィはダウナー、けれど一息に読んじゃったなあ、ミステリの部分に引きずられた感じ。
07/06/2008 Sat 20:52 | 読書
首都圏の端っこに位置する桜宮市に突如舞い込んだ1億円。その名も「ふるさと創生基金」。だがその金は黄金をはめ込んだ地球儀に姿を変え、今では寂れた水族館にひっそり置かれているだけとなった――はずだった。が、ある日を境にトラブル招聘体質の男・平沼平介の日常を一変させる厄介の種へと変貌する。
8年ぶりに現れた悪友が言い放つ。「久しぶり。ところでお前、1億円欲しくない?」
かくして黄金地球儀奪取作戦が始動する。二転三転四転する計画、知らぬ間に迫りくる危機。平介は相次ぐ難局を乗り越え、黄金を手にすることが出来るのか。
これまでの氏の作品とリンクしてはいますが、内容は随分ライト。
んんんっと。軽い感じで読めはするのですが、何でか辛いなあ。台詞やら、ちょっとした表現が狙いは分かるし不快まではいかないのですが。
05/06/2008 Thu 15:32 | 読書
スーパーマーケットに勤務する松田孝司は食品課・非生鮮係長。自分の健康など二の次で、今日もメモを片手に血眼でテレビを見る。主婦向けの高視聴率番組で紹介される“身体にいい食品”をチェックするために……(「スーパーマンの憂鬱」)ほか、若い妻と愛娘にクリスマス・パーティーをねだられる住職、実は笑い上戸の葬儀社社員など、さまざまな人生を切り取った作品集。世のため、人のため、そして家族のため、プロフェッショナルの悲哀を描く、著者独壇場の傑作集。
氏らしいユーモアのある作品集、軽く読めるのは、上手いから。
01/06/2008 Sun 18:53 | 読書
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