夫と平穏な生活をしていた59歳の主人公。63歳の夫の急死により、人生が暗転する。もがき苦しみながら老いて始まる長い別の人生を模索する再生の物語。
タイトルはどうかと思ったけれど、内容はびっくりするほど読み易くて、思わず作家名を確かめてしまったほど。剥き出しの痛々しさや、眉を顰めたくなる心の暗部、人間の裏側のようなもの、つまりは桐生氏がいつも暴き出しているものが、勿論描かれてはいるけれど、少々物足りなかったんです。
31/01/2006 Tue 11:21 | 読書
INTERMISSION ダブリン上等!
監督 : ジョン・クローリー
製作 : ニール・ジョーダン
出演 : コリン・ファレル
キリアン・マーフィ
ケリー・マクドナルド
シャーリー・ヘンダーソン
デヴィッド・ウィルモット
コルム・ミーニィ
アイルランドの首都、ダブリンを舞台に54人の登場人物と11人ののささくれ立ったライフストーリーを笑いと暴力と愛を交えて描く群像劇。コリン・ファレルが熱唱しているエンディングのクラッシュの名曲"I Fought the law"がシンボリック。冒頭からアイルランド映画特有の湿気を感じるがクライマックスは笑いに救われ、笑ってしまう展開に安堵さえ。
しかし邦題のセンスは首を傾げざるを得ません。
30/01/2006 Mon 09:22 | 映画
日活
監督: ペドロ・アルモドバル Pedro Almodovar
製作: アグスティン・アルモドバル Agustin Almodoval
製作総指揮: アグスティン・アルモドバル Agustin Almodoval
脚本: ペドロ・アルモドバル Pedro Almodovar
撮影: ハビエル・アギーレサロベ Javier Aguirresarobe
音楽: アルベルト・イグレシアス Alberto Iglesias
出演: ハヴィエル・カマラ Javier Camara ベニグノ
ダリオ・グランディネッティ Dario Grandinetti マルコ
レオノール・ワトリング Leonor Watling アリシア
ロサリオ・フローレス Rosario Flores リディア
ジェラルディン・チャップリン Geraldine Chaplin カタリナ
パス・ベガ Paz Vega
オール・アバウト・マイ・マザーのペドロ・アルモドバル監督が、ともに愛する女性が昏睡状態となってしまった二人の男を主人公に描く愛の物語。アカデミー脚本賞、ゴールデン・グローブ外国語映画賞受賞。
ベニグノの、献身的な看護士として"人生で最も充実した4年間"を過ごしてきたという妄信的なアリシアへの愛情が悲劇と奇跡を招く。闘牛士の恋人の突然の事故に動転し悲嘆にくれていた泣く男マルコの友情。どれもどこかおかしいような気がするのにだったら何か信じられるものがあるのかと考えるとそれは果たして。
全編を彩るスペインの音楽と美しい映像が耳朶と網膜に残る。
Talk to Her
30/01/2006 Mon 09:06 | 映画
角川書店
大崎 善生(著)角田 光代(著)島本 理生(著)蓮見 圭一(著)奥田 英朗(著)盛田 隆二(著)
発売日:2005-12
時季を逸したが執筆陣が好みで入手した、アンソロジィ。
うかれて浮ついたクリスマスはこの布陣には勿論ないけれど、不倫が頻出するのには驚いてしまいました。クリスマスってそういう?
角田氏の描写はやはり唸るし奥田氏は確信犯的変化球。
26/01/2006 Thu 11:40 | 読書
実に実に久しぶりの西村氏の新刊は、
ビンゴの小田健、
脱出―GETAWAYの志波銀次、
突破―BREAKの大文字一徹。オールスター総出演の上下巻1400ページを超えるレンガ本。
オダケンは小樽で携帯核爆弾を持ち込んだ謎のロシア人傭兵"13人の戦士"と遭遇戦、銀次は金沢で最強の刺客"傷"の急襲を受ける。一徹はひょんなことから少年タツヤと小倉から二人旅に出るが、タツヤの持つノートパソコンを付け狙うCIAの影が迫る。
漢達は追撃と逃亡、鯨飲馬食を繰り広げ、核の危機迫る決戦の地・東京へと集結する。
一方東京では、政府内に巣くう極右集団が国民統制と対米関係是正による"日本再生"を目論み策動する。呉梨花や九鬼、桐葉万季らオダケン達の仲間はその陰謀に巻き込まれ、真相解明に乗り出す。
褒め言葉としてのB級アクションエンタテイメント。とんでもなく大きく広げられた大風呂敷、持続するテンション、過熱するボルテージ。キャラクタはどこまでも戯画的で
豪華。
西村氏、すごいもの書きましたね。
20/01/2006 Fri 20:57 | 読書
"20世紀よ、死ぬな、ロールしろ。"ベルカ、吠えないのか?に続いて氏が繰り出すのは、20世紀における、七つの大陸を流転(ロール)するロックンロールの創世記と神話と叙事詩。ゴシック交じりの文章が強烈なグルーヴ感を加速させます。
18/01/2006 Wed 18:52 | 読書
第134回芥川龍之介賞は絲山秋子氏の"沖で待つ"。
前回直木賞、その前は過去3度芥川賞候補になっていただけに、順当でしたね。
第134回直木三十五賞は東野圭吾氏の"容疑者Xの献身"。
よかったよかった、おめでとうございます。
それにしても今日という日は日本がやたらと騒然としていて、文学賞どころじゃないと、ただでさえ地味なニュースが吹き飛びそうな。
11年前忘れられない忘れてはいけない。
17/01/2006 Tue 20:01 | 読書
戦後間もない昭和三十年代の東京下町を舞台にした連作集。
人や場所や物に残った記憶が見える力を持った主人公。ある時は凄惨な殺人事件の現場を、時には流星の塵から宇宙を、身近な暮らしのそばに思わぬ出来事を引き込みながら物語は描かれる。
かたみ歌に続いて懐古的な優しい作品。
16/01/2006 Mon 19:25 | 読書
みすず書房
Thomas Reid Pearson(著)柴田 元幸(翻訳)
これまでさまざまな小説を訳してきましたが、こんな変な文章を訳したのは初めてです。僕がいままで翻訳に関して築いてきた いろんなルールや原則を、この小説を訳すにあたってはほとんど全部捨てざるを得ませんでした。
という柴田元幸氏の訳は相変わらず信頼に足りうるどころか、期待以上のものをもたらしてくれる。
アメリカ南部の小さな田舎町ニーリーでは、ひと夏に大きな出来事はせいぜいひとつぐらししか起きないはずだった。ところがその夏、禿のジーター嬢が亡くなるという大きな出来事がひとつあったにも関わらず、もっと大きな、町中を揺るがすほどの出来事が起きることとなった。 笑いと脱線と戦慄の物語。柴田氏が、3年の歳月をかけて訳したというその文章は、冒頭の句読点なしの1238字からアクロバティック。
おお、
伊坂氏もはまっていらっしゃる。
15/01/2006 Sun 23:26 | 読書
テレビドラマで装幀が小道具として使われたらしいですが、中身は書き下ろしだと。
新薬投与実験の結果、20年間老化が止まってしまった主人公が、昔の恋人の息子と恋に墜ちる。
15/01/2006 Sun 11:27 | 読書
"大男‐小柄な女性‐大男"若い三人が立ち上げたデザイン事務所"凹組"。10年前の凹組立ち上げ時代と、現代がテンポ良い文章と地に足着いた会話でクロスオーバしながら描かれています。若きヒロインの成長ぶり、"仕事仲間"のしがらみや有難み、のようなものがヘヴィにも過度にも説教臭くもないのが好感。
14/01/2006 Sat 20:51 | 読書
Sony
Sly and The Family Stone
Official Sly And The Family Stone website1982年の
Ain't Nothing But the One Way以降、オリジナル・アルバムをリリースしていない彼等のMasterTapeを使ったNew Album."Tribute"というやつなんでしょうが、オリジナルのマスターを使用しているので、クレジットには"with"と記されているそうです。豪華メンバーの名曲揃い。
1. 'Dance to the Music' w/ Wil.i.am (Black Eyed Peas)
2. 'Everyday People' w/ Maroon 5
3. 'Star' w/ The Roots
4. 'Runnin' Away' w/ Big Boi (feat. Sleepy Brown & Killer Mike)
5. 'Family Affair' w/ John Legend & Joss Stone w/ Van Hunt
6. '[You Caught Me] Smilin'' Scar w/ Big Boi and DJ Swiff
7. 'If You Want Me To Stay' w/ Devin Lima
8. 'I Get High On You' w/ the Wylde Bunch
9. 'Love City' w/ Moby
10. 'You Can Make It If You Try' w/ Buddy Guy & John Mayer
11. 'Sing A Simple Song' w/ Chuck D, D'Angelo & Issac Hayes
12. '[I Want To Take You] Higher' w/Steven Tyler and Robert Randolp
リーダーのSlyは長年の薬物中毒の治療後、健康状態は回復してBeverlyHillsに住んでいるそう。彼以外のFamilyStoneはOriginalメンバーを中心に活動しているようで、昨年夏北米ツアーを行なったとのこと。
13/01/2006 Fri 14:13 | 音楽
"大学生と超能力と大統領の話です" ―伊坂幸太郎仙台の大学を舞台にした大学生の群像劇。
あのね、"青春"ってこうしてよく使われる言葉だけど、便利で曖昧でもしかすると何ひとつ表現していなくて、なのに魅力的な言葉っていうのは、ね。
少なくとも、この小説を"青春"小説とは思わないと読み進み、最終章でそういう風にまとめたんだと。伊坂氏のすべての作品を読んでいるからこそ、物足りなさや手応えのなさは否めないんですよ。
"砂漠"は社会のメタファーというのは直球。砂漠どころか、無人島だったり極だったり、ひねもすのたりの海だったり空気の薄い高山だったりするわけさ。
13/01/2006 Fri 12:48 | 読書
恒例の大森望、豊崎由美両氏によるメッタ斬り!版 芥川賞直木賞選考会は日経BPのサイトに移転。
2人あわせて、約2,000冊!『そんなに読んで、どうするの?』も首肯爆笑敬服。
12/01/2006 Thu 21:05 | 読書
厭世フレーバーの著者の2002年のデビュウ作。第8回小説新潮長篇新人賞受賞作。
学校がつまらなくなった関西の三流私立大学生イズミが、解体業者のもとでアルバイトする日々を描く、浪花の青春物語。解体屋の仲間のキャラクタの造形も、関西弁の会話も生き生きしていて。イズミの心情の変化が荒削りな分ひりひりするのさ。
11/01/2006 Wed 20:10 | 読書
国際会議を控え、厳重な警戒下にあった那覇空港でハイジャック事件が発生。緊迫する状況の中、航空機の機内で乗客が死体となって発見される。舞台装置が整った感ある、"クローズドサークル"ミステリィ。
と、思って読むとまあそうなんだろうとするすると読みはすれど、どうにも首を傾げざる箇所が散見されてしまうのは、どうなんだろ。
10/01/2006 Tue 20:09 | 読書
"
戦いを知らない日本人に捧ぐ"
帯が猛々しく叫んでいます。ヴェトナム解放30周年番組を制作するために現地にやってきた日本人のレポーターが誘拐された。中部高原地帯居住の少数民族解放勢力は、ヴェトナムに住む日本人の元戦場カメラマンに1万ドルを運べと要求する。ヴェトナム公安局監視の元で進んでいく受け渡しの末、解放勢力の実体があらわれる。
船戸氏の作品はすべて読んでいる。名作
山猫の夏が刊行されたのが、1984年。
砂のクロニクル、
猛き箱舟、
伝説なき地、叛史に塗れた異国の物語を読んだときの興奮やときめきは、十数年たった今でも確と憶えている。
昨今の船戸氏の作品の主人公は壮年となり、ストーリィはより社会派的になっている。冒険小説の醍醐味を教わった頃の爽快さや、疾走感がない、だなんて思うこともあれど、それもそうだ、著者だって齢を取る。20年間ずっと変わらない方が気持ち悪いし、不自然だ。けれど視点も主題も不変だろう?
文章がどうの、という書評もあるけれど、
豊浦志朗名義で書かれた
叛アメリカ史―隔離区からの風の証言、硬派と宿命、などのルポルタージュを読めば、氏の小説について文章の技巧は本質ではないことが解る。
地道な取材を僻地で続け、
叛史を徹底的に描き続ける、そんな作家が他に居るか?その姿勢と魂に感服。
ヴェトナム再訪前に読んでおくべきでした。
08/01/2006 Sun 13:07 | 読書
未婚と偽り職を得た主人公が職場のアルバイトの学生と恋に落ちる。
調子のいい女、
玉の輿同盟みたいな、コミカルなの期待していたんです。
主人公は33歳なのだが、あまりにも短絡的でどうにもこうにも乖離があるなあ。不倫相手の学生もどこが良いのかさっぱり解らんが、それに惚れる主人公も周囲の人間も目を覆いたくなる状態。ひとっつも共感できないまま。
07/01/2006 Sat 20:34 | 読書
不妊に悩む高代夫妻は、地下奥深い一室で外界を遮断し一ヶ月生活するという不思議な療法で念願 の我が子を手にした。しかし、同じ方法で誕 生した子どもたちは、生後125日目にことごとく死を遂げていた。
安東氏の公式サイトによると"伝奇小説という新境地"に挑戦したそうです。帯には"サスペンス・ホラー"とありますけれど。
むむむ、山伏修験者、地下実験部屋、SIDS、遺跡と発掘、盛り沢山なんだけど其々の関連性がいまひとつ馴染めないまま、もやもやした気分でラストで尻切れトンボ。個々の素材は凄いところに目をつけたもんだとは思うのですけれど。
06/01/2006 Fri 11:28 | 読書
2000年/ベルギー・フランス・オランダ合作
監督・製作:ドミニク・デリュデレ
脚本:ロレット・メウスドミニク・デリュデレ
音楽:レイモン・ヴェン・ハットフルネバルトゥ
キャスト:ヨセ・デパウ(ジャン)
エヴァ・ヴァンデルフフト(マルヴァ)
ウェルナー・デスメット(ウィリー)
ヴィクトル・レーヴ(ミカエル)
テクラ・ルーテン(デビー)
ヘルト・ポルタール(シャンタル)
2001年のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
しがない工場労働者ジャンの夢は17歳になる一人娘マルヴァが歌手になること。娘のことを誰よりも応援しているのに、コンテストではいつも低評価でくさっている彼女には煙たがられてばかり。おまけに、勤め先の工場が倒産。家族にも言えず途方に暮れた彼は、ひょんな事で出会った人気歌手のデビーを出来心で誘拐してしまう。そしてプロデューサーにデビーを返す条件として自作の曲"ラッキー・マヌエロ"で娘をデビューさせる事を要求する・・・。
というストーリィですが、シリアスさは微塵もなく温かみと笑いと人間味の溢れた佳品。おとんの必死さと暴走、娘のヴィジュアル、誘拐の片棒を担ぐ青年、キャラクタの冴えない感じも好い。
オリジナル曲"ラッキー・マヌエロ"は、廻ります、ぐるぐる。
04/01/2006 Wed 13:43 | 映画
月島から清澄通りを歩き佃を経由して門前仲町へ。隅田川は花火大会のころとは違う静けさ。



01/01/2006 Sun 13:29 | 旅
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